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第5章 関係詞 —— 空所の後ろに「欠けている場所」があるか


5-1 なぜ2つの文を1つにまとめる仕組みが要ったのか

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みずほ食品の求人票に、こう書きたいとする。「乾燥ラインを担当する技術者を募集しています。その技術者は3年以上の経験を持っています。」英語で2文に割ると We are looking for a technician. The technician has three years of experience. となり、technician が2回出てきて冗長になる。

そこで英語は、2回目の名詞を「関係詞」という代役に置き換えて、2文を1つに縫い合わせる装置を作った。

We are looking for a technician  who  has three years of experience.
                    ↑先行詞      ↑代役(2回目の technician の位置)

TOEIC が問うのは、この代役がどの役を演じているかである。主語の代役なのか、目的語の代役なのか、それとも「場所」「時」という副詞の代役なのか。役が決まれば語は1つに決まる。

【必然】 代役は、元の文で欠けている場所に対応する。だから「後ろの文のどこが欠けているか」を見れば、機械的に決まる。

覚え方の取っ掛かり: 関係詞は「穴埋めの跡地」。跡地が主語なら who/which、目的語なら whom/which、跡地が無ければ where/when/whose。

ここで引っかかるはず(Q&A)

Q. whowhichthat の使い分けだけ覚えれば足りるのでは。 A. それは先行詞が人か物かという別の軸で、TOEIC はそこをあまり問わない。実際に問われるのは「後ろが完全な文か、不完全な文か」のほう。whichwhere の2択は、人か物かでは絶対に決まらない。

Q. 「完全な文」「不完全な文」がぴんと来ない。 A. 主語・動詞・(他動詞なら)目的語が全部揃っていれば完全。 the office where we held the meetingwe held the meeting は主語も目的語も揃っているので完全 → wherethe office which we visitedwe visited は目的語が無い(visited の後ろが空)ので不完全 → which動詞の後ろが空いているかを見るのが最速。

Q. that はいつでも使えるのか。 A. カンマの後ろ(非制限用法)と前置詞の直後では使えない。the report, that was issued は誤り、the report, which was issued が正しい。in that も不可で in which になる。カンマか前置詞を見たら that を切る、と処理すれば足りる。


5-2 具体例 —— 後ろの文を見るだけ

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先行詞を the warehouse(倉庫)で固定して、後ろの文だけ差し替える。

後ろの文 欠けている場所 入る関係詞
------- stores the export cartons 主語(動詞 stores の前が空) which / that
------- the company opened last year 目的語(opened の後ろが空) which / that
------- the company stores export cartons 欠けていない(完全な文) where
------- roof was replaced in April 所有格(roof の持ち主が空) whose

4つとも先行詞は同じ the warehouse(物)なのに、答えは全部違う。 だから「人か物か」だけでは決まらない、というのが 5-1 Q&A の意味になる。

実戦形

The overseas buyer visited the plant ------- the new drying line was installed last spring.
(A) which  (B) that  (C) where  (D) whose
  1. 先行詞を確認する。the plant
  2. 後ろの文を読む。the new drying line was installed last spring は主語も動詞も揃っていて、欠けている場所がない → 完全な文
  3. 完全な文が続くなら、関係代名詞(which / that / whose)は入らない。場所を表す先行詞なので (C) where

the plant の意味も drying line の意味も、判定には一度も使っていない。使ったのは「後ろに穴があるか」だけ。

なぜ他のやり方ではダメなのか

対抗案1: 「先行詞が人なら who、物なら which」で決める。 上の例は先行詞が物なので which を選んでしまう。しかし which を入れると The plant which the new drying line was installed となり、which の跡地がどこにも無い。代役が演じる役が存在しないので文が壊れる。 人か物かの軸は、whowhich を分けるときにしか効かない。

対抗案2: 和訳して自然なほうを選ぶ。 「新しい乾燥ラインが設置された工場」と訳すと、which でも where でも日本語は同じになる。日本語の「〜の」「〜した」は関係詞の役を区別しないので、訳した瞬間に決め手が消える。

対して「後ろが完全か不完全か」は、単語の意味を1つも知らなくても判定できる。The plant ------- the new XXXX was YYYYed last spring. でも、was YYYYed に主語 the new XXXX が付いていると分かれば完全と判定でき、where に到達する。


5-3 素性カード

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先行詞 後ろの文 演じる役
who 不完全(主語が空) 主語
whom 不完全(目的語が空) 目的語。TOEIC では前置詞の直後に多い(to whom
which 不完全(主語または目的語が空) 主語・目的語
that 人・物 不完全 主語・目的語。カンマ直後と前置詞直後では使えない
whose 人・物 完全(ただし直後は必ず名詞) 所有格
where 場所 完全 副詞(in which と同じ)
when 完全 副詞(at which と同じ)
what 先行詞を含む 不完全 「〜するもの・こと」。前に名詞があれば what は不可

名前の由来

関係代名詞=relative pronounrelative は ラテン語 referre(連れ戻す)の分詞 relatus から。前に出た名詞へ意識を「連れ戻す」語、という意味づけになっている。refer(参照する)relation(関係)と同族。

who what which when where why how が揃って wh- で始まるのは、印欧祖語の疑問詞語根 *kʷ- に遡るとされる。ラテン語の quis quid quod、日本人にも見慣れた quiz question qualityqu- と同じ出どころで、英語では hw を経て wh になったhow だけ w が落ちた)。疑問詞と関係詞が同じ形なのは、「誰が来たか分からない」と「来た人」が言語的に近いところにあるため。

仲間と対(つい)

間違えやすい相手と見分け方

見分け方
whichwhere 後ろが不完全なら which、完全なら where
whosewhom 直後が名詞なら whose、直後が主語+動詞なら whom
whatthat 前に先行詞(名詞)があるかどうか。 あれば that、無ければ what
関係詞 that と接続詞 that 後ろが不完全なら関係詞、完全なら接続詞(the fact that S V

出てくる章

ch04 分詞(分詞は関係詞節の短縮形)/ch06 接続詞vs前置詞(後ろが節か名詞かという同じ発想)/ch09 代名詞whose は所有格の一種)


5-4 手順

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  1. 選択肢が who / which / where / whose / that / what の並びか確認する。並んでいればこの章。
  2. 空所の直後から文末までを読み、欠けている場所を探す。
    • 動詞の前が空 → 主語が欠けている → who(人)/ which that(物)
    • 他動詞・前置詞の後ろが空 → 目的語が欠けている → whom / which that
    • どこも欠けていない → where / when / whose(直後が名詞なら whose
  3. **先行詞(空所の直前の名詞)**を見て、人か物か・場所か時かで最終決定する。
  4. 空所の前にカンマがある、または空所の直前が前置詞なら that を切る。

5-5 Part 6 での出方

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Part 6 では関係詞そのものより、関係詞節を含む長い文の中で別の空所が問われる形が多い。長い修飾がかぶさっても、主語と述語動詞の対応は崩れない。

Employees who have completed the safety course ---(1)--- a new badge at the front desk.
(A) receives  (B) receive  (C) receiving  (D) to receive

who have completed the safety courseEmployees にかぶさる修飾。修飾を丸ごと外すと Employees ---(1)--- a new badge になり、主語は複数(B) receive。関係詞節の中の have completed に釣られて単数・複数を間違えるのが典型の失点。

手順: 関係詞から、その節の動詞の後ろまでを指で隠す。 残った骨格で主語と動詞を合わせる。


5-6 よくある間違い

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  1. 先行詞が物なら which、と反射する。 後ろが完全な文なら where / when。5-2 のとおり。
  2. whose の後ろに the を付ける。 the company whose the president は誤り。whose 自体が所有格なので冠詞は不要。whose president
  3. 先行詞があるのに what を使う。 the information what we received は誤り。先行詞があるなら that / which
  4. 関係詞節の動詞で主語を数え間違える。 5-5 のとおり、修飾を外してから数える。
  5. カンマの後ろに that を置く。 The contract, that was signed in April, ... は誤り。which にする。
  6. 前置詞の直後に that を置く。 the room in that we met は誤り。in which または where

5-7 関連マップ

graph TD
  ch05[ch05 関係詞<br/>後ろに穴があるか] --> ch04[ch04 分詞<br/>which is を消した形]
  ch05 --> ch06[ch06 接続詞vs前置詞<br/>後ろが節か名詞か]
  ch09[ch09 代名詞<br/>所有格] --> ch05
  ch05 -.Part 6 では.-> P6[修飾を外して主語と動詞を合わせる]
  ch05 -.Part 7 では.-> P7[長い文の骨格を掴む]

本番でセットで出る: Part 7 の長文で1文が3行に伸びるのは、たいてい関係詞節が2つ入っているため。関係詞から節の終わりまでを括弧でくくって読み飛ばす技術は、この章の判定手順そのもの。読解速度に直結する。


5-8 小話コラム 🌿

branch:toeic-gr-ch05-b1

wh- の一族はどこから来たのか

who what which when where why が揃って wh- で始まるのは偶然ではない。印欧祖語の疑問詞語根 *kʷo- / *kʷi- に遡るとされ、そこから枝分かれした語がヨーロッパ中に散らばっている。

ラテン語では k の音が残って quis(誰)quid(何)quod(which)になった。英語に入ったラテン語系の question quality quantity quizqu- は、実は who what と同じ先祖を持つ。

一方ゲルマン語派では、グリムの法則と呼ばれる音の移り変わりで hw に変わった。古英語の綴りは今と逆で hwa(who)hwæt(what)hwær(where)だった。中英語期に綴りが wh- へひっくり返り、how だけは w が発音されなくなって綴りからも落ちた。

※ グリムの法則そのものは音韻論の定説だが、個々の語の細かい経路には異説もある。

で、幹の話に戻ると —— 疑問詞と関係詞が同じ形なのは、英語が手抜きをしたわけではなく、もともと1つの語族だから。「誰が来たか(疑問)」と「来た人(関係)」は、情報が欠けている場所を指すという点で同じ働きをしている。だから 「関係詞=欠けている場所を指す語」という本文の考え方は、語源の側から見ても正しい。


5-9 枝

<details> <summary>🔗 隣枝 —— that の3つの顔(ch06 への橋)</summary>

後ろ
関係代名詞 不完全な文 the report that we submitted(submitted の後ろが空)
接続詞 完全な文 the fact that we submitted the report
指示語 名詞が続く that report

後ろが完全か不完全かで、関係詞か接続詞かが割れる。 これは ch06 の「後ろが節か名詞か」と同じ発想の判定で、TOEIC の文法問題はこの「後ろを見る」姿勢でかなりの部分が処理できる。

で、幹の話に戻ると —— 関係詞の章で身に付けた「後ろを見る」癖は、そのまま ch06 の3問に効く。 </details>

<details> <summary>🔧 実務枝 —— 契約英文で which の位置が争いになる</summary>

the equipment and the software, which shall be maintained by the Seller —— カンマ付きの which は直前の1語だけでなく、直前のかたまり全体を指すこともある。この文は「ソフトだけ」なのか「機器とソフトの両方」なのかが読めず、実際の契約紛争で争点になる書き方として知られる。

英文契約では、こうした曖昧さを避けるために each of which と明示したり、そもそも関係詞を使わず箇条書きに割ったりする。

で、幹の話に戻ると —— 関係詞は「どこにかかるか」で意味が変わる装置なので、Part 7 で長い文に出会ったときも「この which はどこまで戻るのか」を意識すると、設問の根拠を取り違えにくくなる。 </details>


5-10 確認問題

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  1. The technician ------- installed the drying line will return for a follow-up inspection. (A) which (B) who (C) whose (D) where → textbook_ref: toeic-gr-ch05
  2. The buyer visited the warehouse ------- the export cartons are stored during peak season. (A) which (B) that (C) where (D) whose → textbook_ref: toeic-gr-ch05
  3. Mizuho Foods signed a contract with a distributor ------- headquarters are located in Singapore. (A) which (B) who (C) whom (D) whose → textbook_ref: toeic-gr-ch05
  4. Please review the shipping documents ------- the compliance officer prepared last Friday. (A) what (B) which (C) where (D) whose → textbook_ref: toeic-gr-ch05
  5. Employees who have completed the safety course ------- a new badge at the front desk. (A) receives (B) receive (C) receiving (D) to receive → textbook_ref: toeic-gr-ch05

<details> <summary>解答</summary>

  1. (B) —— 後ろは installed the drying line で主語が空。先行詞は人。
  2. (C) —— 後ろ the export cartons are stored は完全な文。先行詞は場所。
  3. (D) —— 直後が名詞 headquarters。所有格。
  4. (B) —— 後ろ the compliance officer preparedprepared の目的語が空で不完全。先行詞 documents があるので what は不可。
  5. (B) —— 関係詞節を外すと主語は複数 Employees。 </details>