← TOEIC 文法(Part 5 / Part 6)

第4章 分詞 —— -ing は「する側」、-ed は「される側」


4-1 なぜ動詞なのに名詞にくっつけるのか

toeic-gr-ch04-s01

みずほ食品の商品カタログに、乾麺の写真とともに noodles の説明を1語で足したい。「乾かした麺」なら dried noodles、「乾かす機械」なら drying machine。同じ dry から出た形なのに、片方は「される側」、片方は「する側」を指している。

英語は形容詞の数が足りない。dried(乾かされた)にぴったり当たる形容詞を新しく作るより、動詞をそのまま形容詞の席に座らせるほうが安上がりだった。そこで動詞に2つの顔を用意した。

Part 5 では、この2択を「どちらが空所に入るか」で問う。選択肢に -ing-ed が両方並んでいたら、この章の問題と判断してよい。

【必然】 受動態(ch03)の過去分詞と、ここの過去分詞は同じもの。どちらも「される側」を表すという1本の理屈から出ている。

覚え方の取っ掛かり: -ing は矢印が外向き(自分から出す)、-ed は矢印が内向き(自分が受ける)。

ここで引っかかるはず(Q&A)

Q. -ing は進行形や動名詞でも使う。どう区別するのか。 A. 席で区別するch01 の話がそのまま効く)。be の直後なら進行形、前置詞の直後や主語の位置なら動名詞、名詞の直前・直後なら分詞。形は同じでも座っている席が違う。

Q. interestinginterested の使い分けが毎回分からなくなる。 A. 「面白がらせる」という動詞 interest に戻すと解ける。映画が面白がらせる側 → an interesting movie。私が面白がらせられる側 → I am interested 感情動詞(interest, surprise, excite, satisfy, confuse, disappoint, tire, bore)は全部「〜させる」という他動詞なので、人が主語なら必ず -ed になる。

Q. 分詞構文が出てきたら諦めていいか。 A. Part 5 に出る分詞構文は形が決まっている(4-4 節)。カンマの前後どちらかに完全な文があり、もう片方に主語がないという形を見たら分詞構文。主語は必ず主節の主語と同じなので、その主語が「する側か、される側か」だけ見れば決まる。


4-2 具体例 —— 名詞の前と後ろ

toeic-gr-ch04-s02

名詞の前(1語で修飾)

the ------- machine   → drying   (乾かす側 = 機械が乾かす)
the ------- noodles   → dried    (乾かされた側 = 麺が乾かされる)

名詞の後ろ(2語以上のかたまりで修飾)

the machine ------- the noodles at 60 degrees   → drying  (機械が乾かしている)
the noodles ------- at 60 degrees               → dried   (麺が乾かされた)

後ろに目的語があるかどうかが、そのまま ch03 の判定と同じになる。 drying the noodles は後ろに目的語があるので「する側」、dried at 60 degrees は前置詞句が続くだけなので「される側」。

実戦形

Employees ------- in the new safety program should report to the training room.
(A) enrolling  (B) enrolled  (C) enroll  (D) to enroll
  1. 主語 Employees の後ろに should report という述語動詞がすでにある → 空所は述語動詞ではない。(C) が落ちる。
  2. -ing-ed か。従業員は登録される側(B) enrolled
  3. 念のため空所の後ろを見る。in the new safety program は前置詞句で目的語がない → 受動=過去分詞で整合。

なぜ他のやり方ではダメなのか

対抗案: 「〜している」なら -ing、「〜された」なら -ed」と訳で決める。

Employees enrolled in the program(登録している従業員)と訳せてしまうのが問題になる。日本語の「登録している」は「登録した状態にある」という完了・状態の意味で、英語の -ing(能動・進行)とは一致しない。日本語の「〜している」は英語の -ing / -ed の両方に散らばるので、訳を判定基準にすると2択が2択のまま残る。

もう1つの対抗案は 「人が主語なら -ed」と丸暗記する。 感情動詞ならこれで当たるが、the man carrying the boxes(箱を運んでいる男性)のような普通の動詞では、人が主語でも -ing になる。感情動詞に限った局所ルールを全体に広げると崩れる。

対して「する側か・される側か」+「後ろに目的語があるか」の2点は、動詞の種類を問わず動く。感情動詞も普通の動詞も同じ手順で処理できる。


4-3 素性カード

toeic-gr-ch04-s03

意味
現在分詞 -ing 形容詞 する側・進行中 the rising cost, the man standing at the gate
過去分詞 -ed 形容詞 される側・完了した the revised schedule, the forms submitted last week
動名詞 -ing 名詞 〜すること Signing the contract took an hour.
分詞構文 副詞 〜しながら/〜されて Founded in 1962, the company ...

名前の由来

分詞=participle は ラテン語 participium(分け前にあずかるもの)。**動詞と形容詞の両方の性質を「分け持つ」**からこの名が付いた。日本語の「分詞」も同じ発想の直訳。participate(参加する)participant(参加者)と同族で、「一部を持つ」というのが語根 part- の意味。

-ing の由来は古英語の名詞語尾 -ung(動名詞)と、現在分詞語尾 -ende2つが中英語期に合流したものとされる。もともと別物だった動名詞と現在分詞が同じ綴りになってしまったので、現代英語では席で区別するしかなくなった。

仲間と対(つい)

間違えやすい相手と見分け方

見分け方
動名詞と現在分詞 名詞の席なら動名詞(Signing is required)、形容詞・副詞の席なら分詞
過去分詞と過去形 過去形は述語動詞の席にしか座れない。既に述語動詞がある文なら過去分詞
-ing 形の複合名詞 a swimming pool(泳ぐためのプール)は分詞ではなく用途を示す動名詞。TOEIC では区別が問われない

出てくる章

ch03 態(過去分詞は同じもの)/ch05 関係詞(分詞は関係詞節を縮めた形)/ch01 品詞(席の決め方)


4-4 手順

toeic-gr-ch04-s04

  1. 選択肢に -ing と過去分詞が並んでいるか確認する。並んでいればこの章。
  2. 文にすでに述語動詞があるか確認する。 あれば空所は述語動詞ではない(分詞か不定詞)。無ければ ch03 の態の問題。
  3. 修飾される名詞を特定する。 前にあるか(後置修飾)、後ろにあるか(前置修飾)。
  4. その名詞が「する側」か「される側」かを判定する。する側なら -ing、される側なら -ed
  5. 迷ったら空所の後ろを見る。目的語があれば -ing、前置詞句・文末なら -ed

分詞構文の形

------- in 1962, Mizuho Foods now exports to twelve countries.
(A) Founding  (B) Founded  (C) Founds  (D) To found

カンマの後ろに完全な文(Mizuho Foods now exports)がある → 前半は分詞構文。主語は主節と同じ Mizuho Foods会社は設立される側(B) Founded

【要請】 分詞構文は「主語が同じなら書かなくても分かる」という省略の要請から生まれた形。だから省略された主語=主節の主語という約束が守られる。

覚え方の取っ掛かり: カンマの向こうの主語を、そのまま分詞の主語として当てはめる。


4-5 型

toeic-gr-ch04-s05

選択肢に -ing と -ed が両方ある?
  ├ 述語動詞が文に無い  → 態の問題(ch03)。be動詞を含む選択肢を探す
  └ 述語動詞が文にある  → 分詞
        ├ 名詞の直前     → その名詞がする側なら -ing / される側なら -ed
        ├ 名詞の直後     → 後ろに目的語があれば -ing / 前置詞句なら -ed
        └ カンマ区切りの文頭・文末 → 分詞構文。主節の主語で判定

4-6 よくある間違い

toeic-gr-ch04-s06

  1. 感情動詞で人に -ing を付ける。 The staff were confusing. は「スタッフが(他人を)混乱させていた」。言いたいのが「スタッフが混乱した」なら confused
  2. 述語動詞の有無を確認せず過去形を選ぶ。 The forms ------- last week are still under review. は述語動詞 are がすでにあるので submitted(分詞)。submitted を過去形と読んで満足すると、are の存在に気付かない。
  3. 分詞構文の主語を取り違える。 ------- the report, the manager left early. は「読み終えて」なので Having finished。主語 the manager が読む側なので -ing 系。
  4. -ing を全部動名詞と思う。 the growing demand は分詞(需要が伸びる側)。
  5. given provided considering の慣用。 Given the delay, ...(遅延を考えれば)Provided that ...(〜という条件なら)は接続詞のように使う定型。分詞の理屈で悩まず、句として覚える。

4-7 関連マップ

graph TD
  ch03[ch03 態<br/>する側/される側] --> ch04[ch04 分詞]
  ch01[ch01 品詞<br/>席] --> ch04
  ch04 --> ch05[ch05 関係詞<br/>分詞は関係詞節の短縮形]
  ch04 -.Part 1 の頻出.-> P1[a man carrying / boxes stacked]
  ch04 -.感情動詞.-> ch11[ch11 語彙]

本番でセットで出る: Part 1 の写真描写は分詞の宝庫。a woman holding a folder(する側)と boxes stacked on a shelf(される側)を聞き分けるのは、この章の判定そのもの。


4-8 小話コラム 🌿

branch:toeic-gr-ch04-b1

-ing は2つの語尾が衝突した結果

古英語には、名詞を作る -ungleornung = 学ぶこと → learning)と、現在分詞を作る -endeberende = 運んでいる)という別々の語尾があった。役割が違うので混同しようがなかった。

ところが中英語期に発音が弱まり、-ende-inde-ing へと流れて、-ung 由来の -ing と同じ綴りになってしまう。北部方言から順に置き換わったと説明されることが多い。結果、現代英語では reading が「読むこと(名詞)」なのか「読んでいる(分詞)」なのかを、形からは一切判別できないという不便を抱え込んだ。

フランス語やドイツ語は今もこの2つを別の形で持っている(仏 lecture / lisant、独 Lesen / lesend)。英語だけが取り違えた、とも言える。

で、幹の話に戻ると —— -ing の意味は形では決まらない。席で決まる」という不便さは、英語の歴史的な事故から来ている。 だから意味を考えて悩むより、席を見るほうが正しい態度になる。


4-9 枝

<details> <summary>🔗 隣枝 —— 分詞は関係詞節を縮めた形(ch05 への橋)</summary>

the forms which were submitted last week   (関係詞節)
the forms submitted last week              (分詞)← which were を消しただけ

the machine which is drying the noodles    (関係詞節)
the machine drying the noodles             (分詞)← which is を消しただけ

関係代名詞 + be動詞 は消せる。 消した後に残るのが -ed なら受動、-ing なら能動。つまり分詞の2択は、関係詞節に戻せば ch03 の態の判定そのものになる。

で、幹の話に戻ると —— 分詞で迷ったら which is / which was を補って読むと、見慣れた受動態・進行形の形が現れて判定が楽になる。 </details>

<details> <summary>🔧 実務枝 —— 英文カタログの1語が意味を反転させる</summary>

drying equipment(乾燥させる設備)を dried equipment と書くと「乾かされた設備」=濡れていた設備を干した、という意味になる。カタログや仕様書ではこの1語で製品の説明が壊れる。

同じ事故が heating element(発熱体)と heated element(加熱された部品)、operating cost(運営コスト)と operated cost(意味不明)でも起きる。

で、幹の話に戻ると —— 「その名詞は自分でするのか、されるのか」を1回問うだけで防げるので、試験の判定手順がそのまま実務のチェック手順になる。 </details>


4-10 確認問題

toeic-gr-ch04-s10

  1. The applications ------- before March 15 will be reviewed by the hiring committee first. (A) receiving (B) received (C) receive (D) to receive → textbook_ref: toeic-gr-ch04
  2. The new drying system produced ------- results during the two-week trial. (A) encourage (B) encouraged (C) encouraging (D) encouragement → textbook_ref: toeic-gr-ch04
  3. ------- in 1962, Mizuho Foods now ships dried noodles to twelve countries. (A) Founding (B) Founded (C) It founded (D) To found → textbook_ref: toeic-gr-ch04
  4. Several employees ------- the overseas training program reported that the schedule was demanding. (A) attend (B) attended (C) attending (D) attends → textbook_ref: toeic-gr-ch04
  5. Many customers were ------- with the delay and asked for a partial refund. (A) disappoint (B) disappointing (C) disappointed (D) disappointment → textbook_ref: toeic-gr-ch04

<details> <summary>解答</summary>

  1. (B) —— 述語動詞 will be reviewed が既にある。応募書類は受け取られる側。
  2. (C) —— 結果が励ます側。名詞 results の直前で形容詞の席。
  3. (B) —— 分詞構文。主節の主語は会社で、設立される側。
  4. (C) —— 述語動詞 reported が既にある。後ろに目的語 the program があるので -ing
  5. (C) —— 人が主語の感情動詞。 </details>