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第1章 品詞 —— 語尾を見れば入る場所が決まる


1-1 なぜ Part 5 の1/5が「同じ語の4つの形」なのか

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みずほ食品の営業事務・杉本さんが、海外の代理店へ英文メールを打つ。日本語なら「出荷の確認」でも「出荷を確認する」でも、漢字は「確認」のまま、送り仮名だけが変わる。ところが英語は confirmation / confirm / confirmed / confirmatory語そのものが変形する。杉本さんが Please confirmation the shipment. と打って代理店から聞き返された、というのがこの章の出発点になる。

TOEIC の作問側から見ると、これは非常に都合がいい。受験者が英文の意味を1ミリも理解しなくても、空所の前後の形だけで正解が決まる問題を大量に作れるからだ。だから Part 5 の30問中5〜6問が毎回この型で出る。逆に言えば、この5〜6問は意味を読まずに10秒で取れる。570点から800点へ上げるとき、いちばん先に回収すべき配点がここにある。

【必然】 英語は語順で役割を示す言語なので、「どの位置に置けるか」を語の形が背負うことになった。だから位置が決まれば形も一つに決まる。

覚え方の取っ掛かり: 英語は「席」が先に決まっていて、席に座れる形の語しか座れない。

ここで引っかかるはず(Q&A)

Q. 意味を読まなくていいなら、なぜ選択肢に意味の違う語が混ざっているのか。 A. 混ざっていない。品詞問題の選択肢は4つとも同じ語幹inform / information / informative / informatively)で、意味はほぼ同じ。意味の違う4語が並んでいたらそれは品詞問題ではなく語彙問題(ch11)なので、解き方を切り替える。選択肢を見た瞬間に「語幹が同じか違うか」を見るのが最初の分岐になる。

Q. 語尾を覚えるといっても数が多すぎないか。 A. TOEIC に出るのは実質12個ほど(下の素性カード)。しかも -tion -ment -ance は全部「名詞化」で役割が同じなので、覚えるのは役割4つ(名詞・形容詞・副詞・動詞)と、そこに向かう語尾のグループだけになる。

Q. -ly が付いていれば必ず副詞か。 A. 例外が数語ある。friendly costly timely daily likely-ly でも形容詞。a timely delivery(時宜を得た配送)のように名詞を修飾する。TOEIC はこの5語を狙って出すので、ここだけ個別に覚える。


1-2 具体例 —— みずほ食品の1文で4つ全部やってみる

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The overseas team sent a detailed ------- of last month's export volume.
(A) analyze  (B) analysis  (C) analytical  (D) analytically

空所のa detailed(冠詞+形容詞)、後ろof ...(前置詞句)。冠詞と形容詞は必ず名詞にくっつく修飾語なので、修飾される名詞の席が空いている。よって (B) analysis

ここで大事なのは、export volume(輸出数量)の意味を一度も考えていないこと。数字が240トンでも8トンでも答えは変わらない。

同じ文の空所を動かすと、答えの品詞だけが動く。

空所の席 入る品詞 答え
The team sent a detailed ------- of the volume. 冠詞+形容詞の後ろ 名詞 analysis
The team will ------- last month's volume. 助動詞の後ろ 動詞の原形 analyze
The team sent an ------- report. 冠詞と名詞の間 形容詞 analytical
The team ------- reviewed the volume. 主語と動詞の間 副詞 analytically

手順は「空所を隠して、前後だけ見て席の名前を言う」→「選択肢からその席に座れる形を1つ取る」の2段階で終わる。

なぜ他のやり方ではダメなのか

思いつきやすいのが「4つとも空所に入れて音読し、しっくりくるものを選ぶ」というやり方。570点付近の人がいちばんやりがちで、しかもいちばん時間を溶かす。

みずほ食品の杉本さんが実際にやると、a detailed analyze of を読んでも「聞いたことがない気がする」で止まり、a detailed analytical of も「なんとなく変」で止まる。判定基準が「慣れ」しかないので、慣れていない語では必ず迷う。 1問30秒かかり、Part 5 だけで15分。Part 7 の54問に回す時間が消える。

もう1つが「意味から考える」。analysis(分析)も analytical(分析的な)も意味は同じ方向なので、意味では絶対に絞れない。意味で選べる問題なら作問側は品詞問題として出していない。

対して「席を先に言う」やり方は、語を知らなくても動く。a detailed ------- of の空所を見て「冠詞+形容詞の後ろ=名詞」と言えれば、analysis という単語を知らなくても -sis が名詞語尾だと分かれば取れる。5〜6問を90秒で通過できる。

ここで引っかかるはず(Q&A)

Q. 冠詞と名詞の間に副詞は絶対に入らないのか。 A. 副詞単独では入らない。ただし a highly detailed report のように 副詞+形容詞+名詞 の形はある。この場合の副詞は形容詞 detailed を修飾していて、名詞の席に座っているわけではない。空所の直後が形容詞なら副詞、直後が名詞なら形容詞、と直後だけ見れば分かれる。


1-3 語尾の素性カード

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名詞をつくる語尾

語尾 由来
-tion / -sion information, decision, expansion ラテン語の名詞化語尾 -tio(n-)。「〜すること/〜した結果」を表す
-ment shipment, agreement, equipment ラテン語 -mentum(道具・手段・結果)。フランス語経由で英語に入った
-ance / -ence assistance, preference, compliance ラテン語の現在分詞 -ant- / -ent- の名詞形
-ity availability, security, ability ラテン語 -itas(〜という性質)
-ness awareness, effectiveness 本来の英語(ゲルマン系)の語尾。上4つと違い、ラテン語由来ではない
-al approval, proposal, renewal 動詞から名詞を作る。形容詞の -al と綴りが同じなのが厄介(下の「間違えやすい相手」)
-er / -or / -ee manager, supervisor, employee 人。-er/-or が「する人」、-ee が「される人」

形容詞をつくる語尾

-ive(effective, competitive)/-able -ible(available, responsible)/-ous(previous, various)/-ful(successful)/-al(financial, additional)/-ic(specific, economic)/-ant -ent(significant, different)

副詞をつくる語尾

-ly がほぼ全部。例外は本文 1-1 の Q&A にある5語。

仲間と対(つい)

間違えやすい相手と見分け方

紛らわしい組 見分け方
approval(名詞)と additional(形容詞) 語幹が動詞なら名詞の -al(approve→approval)、語幹が名詞なら形容詞の -al(addition→additional)
economic(経済の)と economical(節約になる) -al が付くと「実用的・節約」寄りに振れる。economic growth / an economical car
respectful(礼儀正しい)と respective(それぞれの) -ful は「その性質に満ちる」、-ive は「そういう働きをする」
industrial(産業の)と industrious(勤勉な) -ous は人の性質に付きやすい

出てくる章

ch04 分詞-ing / -ed も形容詞の席に座る)/ch06 接続詞vs前置詞(前置詞の後ろは名詞の席)/ch11 語彙(語幹が違う4語なら語彙問題)


1-4 手順(この順に見る)

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  1. 選択肢を先に見る。 4つの語幹が同じ → 品詞問題確定。違う → 語彙問題なので ch11 の手順へ。
  2. 空所を指で隠し、直前と直後の2語だけ読む。
  3. 席の名前を言う(下の表)。
  4. 選択肢からその席に座れる形を1つ取る。残り3つの意味は見ない。
空所の直前 空所の直後
冠詞 / 所有格 / 形容詞 前置詞・文末・動詞 名詞
冠詞 / 所有格 名詞 形容詞
前置詞 名詞・文末 名詞(または動名詞)
主語(名詞) 名詞・前置詞 動詞
助動詞(will/can/must/should) 動詞の原形
be動詞 形容詞 または 過去分詞(→ch03
完全な文 完全な文 副詞
形容詞 / 副詞 / 動詞 副詞

【要請】 「完全な文の間に入れる語は副詞」というのは、文の骨格(主語・動詞・目的語)が既に埋まっているなら、追加できるのは飾りしかないという要請から来ている。骨格が欠けていないかを先に見るのが速い。


1-5 型(本番でそのまま使う)

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選択肢の語幹が同じ?
  ├ YES → 空所の前後2語だけ見る → 席を言う → その形を取る(10秒)
  └ NO  → 語彙問題。文全体を読んで、正解と結び付く「相方の語」を探す(ch11)

空所が文頭にあり、直後がカンマなら副詞-------, the shipment arrived on time.Fortunately)。これは1秒問題なので、見たら即答して次へ行く。


1-6 よくある間違い

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  1. -ly を見て反射的に選ぶ。 空所が冠詞と名詞の間なら副詞は入らない。席を先に言う手順を飛ばした時に起きる。
  2. 動詞と名詞が同形の語で止まる。 increase record contract は形が同じ。a sharp increase in sales は名詞、Sales increased sharply は動詞。形ではなく席で決めるという原則が効く典型。
  3. -al の名詞を形容詞と思い込む。 approval proposal renewal arrival removal は名詞。この5語はまとめて覚える。
  4. -ee-er の取り違え。 The company hired 12 new -------. は「雇われた人」なので employees

1-7 関連マップ

graph TD
  ch01[ch01 品詞<br/>席で決める] --> ch06[ch06 接続詞vs前置詞<br/>後ろが名詞か節か]
  ch01 --> ch03[ch03 態<br/>be動詞の後ろの席]
  ch03 --> ch04[ch04 分詞<br/>-ing / -ed も形容詞の席]
  ch01 --> ch09[ch09 代名詞<br/>所有格は冠詞と同じ席]
  ch01 -.語幹が違えば.-> ch11[ch11 語彙]
  ch01 -.Part 6 では.-> ch02[ch02 時制<br/>文書全体で決まる]

本番でセットで出る: 品詞問題と代名詞の所有格は「冠詞の席」を共有している。------- report was approved.Their が入るのも、The が入るのと同じ席の話。


1-8 小話コラム 🌿

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なぜ英語の名詞語尾はラテン語だらけなのか

-tion -ment -ance -ity はどれもラテン語系で、本来の英語(古英語=ゲルマン系)の語尾ではない。本来の英語の名詞語尾は -nessdarkness)や -hoodchildhood)、-shipfriendship)のほうだった。

分かれ目は1066年のノルマン・コンクエストとされる。フランス語を話す支配層が入り、法律・行政・宗教・学問の語彙がフランス語(=ラテン語系)で塗り替えられた。その後ルネサンス期にラテン語から直接借り入れる第2波が来て、抽象名詞はほぼラテン語系で固まった。結果、英語は「日常の短い語はゲルマン系、堅い抽象語はラテン語系」という二重構造になっている。

ビジネス文書=堅い場面を扱う TOEIC で -tion -ment が異様に多いのはこのため。逆に言えば、長くて -tion で終わる語を見たら「ああ、これは名詞だ」と即断してよい確率が非常に高い。

※ 諸説あるうち、ノルマン征服を語彙の転換点とする見方が最も有力とされる。

で、幹の話に戻ると —— 語尾で品詞を当てるやり方は「英語らしい直感」ではなく、ラテン語の文法が英語に残した機械的な目印を読んでいるだけなので、感覚に自信がなくても機械的に当たる。


1-9 枝

<details> <summary>🔧 実務枝 —— 稟議書の英語版でも同じ罠が出る</summary>

海外向けの見積書や与信の照会文で、日本人が最も多く打ち間違えるのが Please confirmationWe will approval。どちらも「動詞の席に名詞を置いた」ミス。日本語の「確認をお願いします」「承認します」がそのまま出てしまう。

直し方も本文と同じで、席を先に言うPlease の後ろは動詞の原形の席なので confirmWe will の後ろも動詞の原形の席なので approve

で、幹の話に戻ると —— 試験のための手順と、実際にメールを打つときの手順が完全に同じなので、Part 5 の練習がそのまま業務の誤送信対策になる。 </details>

<details> <summary>🔗 隣枝 —— 「前置詞の後ろ」は名詞の席(ch06 への橋)</summary>

before ------- the contract の空所は前置詞の後ろなので名詞の席。ただし動詞の意味を残したいときは動名詞 signing を使う。before signing the contract

つまり 前置詞の後ろに動詞を置きたければ -ing にする、というのが品詞のルールから自動的に出てくる。ch06 で扱う despite / although の区別も、突き詰めれば「後ろが名詞の席か、主語+動詞の席か」という同じ話になる。

で、幹の話に戻ると —— 品詞の「席」の考え方は ch06 でそのまま使い回すので、ここを固めると3問ぶん得をする。 </details>


1-10 確認問題

toeic-gr-ch01-s10

  1. The factory manager requested a thorough ------- of the packaging line before the export season. (A) inspect (B) inspection (C) inspective (D) inspecting → textbook_ref: toeic-gr-ch01
  2. All visitors must wear a badge that is ------- displayed at all times. (A) clear (B) clarity (C) clearly (D) clearer → textbook_ref: toeic-gr-ch01
  3. Ms. Sugimoto submitted the revised proposal for ------- by the board. (A) approve (B) approved (C) approval (D) approvingly → textbook_ref: toeic-gr-ch01
  4. The new packaging machine has been highly ------- since it was installed last spring. (A) produce (B) product (C) productive (D) productively → textbook_ref: toeic-gr-ch01
  5. A ------- delivery of the sample noodles convinced the overseas buyer to place a larger order. (A) time (B) timing (C) timely (D) timed → textbook_ref: toeic-gr-ch01-ly でも形容詞の例外)

<details> <summary>解答</summary>

  1. (B) —— a thorough の後ろ=名詞の席。
  2. (C) —— isdisplayed の間で、過去分詞を修飾する副詞の席。
  3. (C) —— 前置詞 for の後ろ=名詞の席。approval-al の名詞。
  4. (C) —— has been highly ------- で be動詞+副詞の後ろ=形容詞の席。
  5. (C) —— 冠詞と名詞の間=形容詞の席。timely-ly だが形容詞。 </details>