みずほ食品は3期目に入った。1期目は社長と七海の2人だけ、2期目にパートを2人入れ、 3期目の春には正社員2人とパート4人、社長を含めて7人の会社になった。
人が増えると、決算日の帳面に「まだ1円も払っていないのに、当期の費用にしなければならない金」が 一気に増える。6月に払う夏の賞与、いずれ出ていく退職金、毎年やっている製麺機のオーバーホール。 同じ年、社長は彦根の湖北麺業から乾麺事業を譲り受け、 帳簿に「のれん」という、手で触れない資産が初めて載った。
この章で扱うのはこの2つ。まだ出ていない金を、いつ費用にするかと、 目に見えないものを、どこまで資産と呼んでよいか。 どちらにも見積りが入る。見積りが入るところには必ず「どこまでなら積んでよいのか」という線引きが要る。 その線引きこそが本章の主役で、次章以降の外貨や税効果にもそのまま効いてくる。
「のれん」は、もともと寺で寒さを防ぐために入口へ掛けた布を指した語だという説が有力で、 唐音の「のうれん」がなまって「のれん」になったとされる。 それが商家の軒先へ移り、屋号を染め抜いて掲げるようになると、 布そのものより「その屋号で商売をしてよい」という権利のほうに重みが移っていった。
江戸の商家では、長年勤めた奉公人に同じ屋号での開業を許すことを「暖簾分け」と言った。 渡しているのは布ではなく、その屋号を出せば客が来るという実績である。 店をたたむときに、屋号と得意先を丸ごと譲って受け取る金を「暖簾代」と呼んだ。 形の無いものに値段が付く、という感覚は、会計基準よりずっと前から商人の側にあったことになる。
英語の goodwill も同じところを見ていて、直訳すれば「(客の)好意」。
日本語は店先の布、英語は客の気持ちと、着眼点は違うが、
どちらも帳簿に載らない稼ぐ力を指している点は変わらない。
だから、のれんが 2,000,000円 という数字で帳面に載るのは、 「暖簾代を払った」という商人の古い取引に、金額と償却年数という枠をはめただけのことだ。
引当金は会計にとって欠かせない道具だが、税務の側から見ると扱いにくい。 まだ払っていない金を費用にすると、その分だけ課税所得が減る。 つまり見積りの数字ひとつで、納める税金が変わる。
そこで法人税法は、引当金を原則として損金(税務上の費用)に認めていない。 みずほ食品が3期目に積んだ 1,430,000円 の引当金は、会計では立派な費用だが、 税金の計算では原則としてゼロ扱いになり、実際に賞与を払った期や、 実際に修繕した期に初めて損金になる。会計は「原因の期」、税務は「支払いの期」で切っているわけだ。
同じ会社の同じ1年について、費用が 1,430,000円 の帳面と、 損金がゼロの申告書が同時に存在することになる。 どちらかが間違っているのではなく、投資家に業績を伝える目的と、課税の公平を保つ目的で、 基準が別々に作られているからこうなる。
このずれをそのまま放置すると、利益に対する税金の割合が期ごとに跳ねる。 それを帳面の上でならすのが、第9章で扱う税効果会計になる。
3期目の3月、七海は6月に払う夏の賞与を計算していて手が止まった。 支給見込みは合計 1,200,000円。払うのは6月だから、費用になるのは来期ではないのか。 ところが賞与の対象になっている期間は12月1日から5月31日までの6か月で、 そのうち12月から3月までの4か月は、いま締めようとしているこの期に働いてもらった分だ。 その4か月の働きが、当期の売上をつくっている。
【要請】 費用は、それが生んだ収益と同じ期に載せる(費用収益対応)。
働いてもらった期に賞与の費用が立たないと、当期の利益は人件費を4か月ぶん逃した状態で
過大に出て、翌期は逆に過少に出る。銀行や税務署が2期を並べたとき、
その会社が良くなったのか悪くなったのかが読めなくなる。
だから、支払いが来期でも原因が当期にある費用は当期に見積って計上する。
これを引当金という。覚え方の取っ掛かりは「払う日ではなく、働いてもらった日で切る」。
3級でやった貸倒引当金が、その第1号だった(boki3-ch08-s01)。 売掛金が焦げつくのは来期かもしれないが、焦げつく原因になった掛け売りは当期にしている。 だから当期に見積って引き当てる。理屈はまったく同じで、2級は当てる相手が増えるだけだ。
ただし、この理屈を野放しにすると危険なことになる。 「来期あたり工場を建て替えるかもしれないから 5,000,000円積んでおく」が通ってしまうと、 当期の利益を 5,000,000円 好きなだけ削れる。翌期に「やっぱりやめた」と戻せば、 翌期の利益が 5,000,000円 増える。引当金は、利益を期から期へ付け替える道具になりうる。 そこで、積んでよい条件が4つに絞られている。
4つは、どれか1つでも欠けると歯止めが外れる。 ②が無ければ、来期以降に起きることを何でも当期の費用にできる。 ③が無ければ、起きるはずのない災害でも積める。 ④が無ければ、金額を書く人の気分で利益が決まる。 4つ揃って初めて、その見積りは「他人が検証できる費用」になる。
2級の引当金は貸借対照表の負債の部に並ぶ。賞与引当金も、修繕引当金も、商品保証引当金も、 「いずれ外に出ていく金」なので負債でいい。ところが3級で最初に習った貸倒引当金だけは、 資産の部の売掛金の下にマイナスとして並ぶ。
理由は、それが「出ていく金」ではなく「入ってこない金」だからだ。 貸倒引当金は、売掛金 1,000,000円のうち 20,000円は回収できないだろう、という評価の修正で、 誰かに払う義務ではない。だから負債ではなく、売掛金の金額を減らす形で表示する。 こちらを評価性引当金、賞与や修繕のほうを負債性引当金と呼び分ける。 減価償却累計額が備品のマイナスとして並ぶのと同じ考え方だ。
で、幹の話に戻ると、引当金は4要件で「積んでよいか」を判定し、 そのあと払う義務なら負債、資産の目減りなら資産のマイナス、と置き場所を決める2段構えになる。
決算日は2029年3月31日。この期に積む引当金は4つある。
| 引当金 | 積む理由(原因が当期にある) | 当期の繰入額 | 出ていく予定 |
|---|---|---|---|
| 賞与引当金 | 12〜3月の4か月ぶん働いてもらった | 800,000 | 2029年6月 |
| 退職給付引当金 | 7人が当期1年ぶん勤続した | 300,000 | 各人の退職時 |
| 修繕引当金 | 製麺機を毎年3月に分解整備。今期は間に合わず4月へ | 250,000 | 2029年4月 |
| 商品保証引当金 | 贈答セットに「品質に難があれば無償交換」を付けて売った | 80,000 | 保証期間内の申出時 |
計算の中身はこうなる。
この4つを積んだ結果、3期目の費用は 1,430,000円 増える。 現金は1円も動いていないのに利益が 1,430,000円 減るので、 社長は毎年ここで「金は出ていないのに、なんで儲けが減るんだ」と言う。 出ていないのではなく、出ることがもう決まっていて、その原因は当期にある。
まず賞与引当金で1回通す。
一般化すると、引当金の1年は **「①4要件で判定 → ②当期負担額を見積る → ③期首残高との差を調整して繰り入れる → ④実際に出ていったときに取り崩す」**の4段になる。
③の調整のしかたが科目で2通りある。 賞与・修繕・商品保証は使い切る前提なので、前期分を取り崩したうえで当期分を積む (商品保証で使い残しが出たら「商品保証引当金戻入」という収益で戻す)。 貸倒引当金だけは残高そのものを目標額に合わせる差額補充法で、 期末に必要な額と現在の残高の差だけを繰り入れる。ここが3級と2級で混ざりやすい。
決算(2029/3/31)でまとめて積む。
3/31 (借) 賞与引当金繰入 800,000 (貸) 賞与引当金 800,000
3/31 (借) 退職給付費用 300,000 (貸) 退職給付引当金 300,000
3/31 (借) 修繕引当金繰入 250,000 (貸) 修繕引当金 250,000
3/31 (借) 商品保証引当金繰入 80,000 (貸) 商品保証引当金 80,000
翌期、実際に出ていったときは反対側で取り崩す。
6/25 賞与 1,200,000円を当座預金から支給
(借) 賞与引当金 800,000 (貸) 当座預金 1,200,000
(借) 賞 与 400,000
4/20 製麺機の分解整備 280,000円を当座預金から支払
(借) 修繕引当金 250,000 (貸) 当座預金 280,000
(借) 修 繕 費 30,000
対抗案1:賞与は払った期の費用にすればいい(現金が動いた日で切る)
3期目の費用はゼロ、4期目に 1,200,000円 全額。手続きは一番簡単だ。 だが3期目と4期目の税引前利益を並べると、みずほ食品の場合こうなる。
| 3期(引当なし) | 4期(引当なし) | 3期(引当あり) | 4期(引当あり) | |
|---|---|---|---|---|
| 賞与関係の費用 | 0 | 1,200,000 | 800,000 | 400,000 |
| 税引前利益 | 3,200,000 | 2,000,000 | 2,400,000 | 2,800,000 |
引当なしだと、実力は同じなのに3期が 3,200,000円、4期が 2,000,000円 と読める。 銀行の担当者はこの2期を見て「1年で 1,200,000円 も利益が落ちた会社」と判断する。 落ちてはいない。12〜3月に働いてもらった人件費を、3期の帳面が持っていないだけだ。 引当ありなら 2,400,000 → 2,800,000 で、実態どおり微増に見える。
対抗案2:不安なので多めに、1,200,000円 全額を3期に積む
保守的でよさそうに見える。だがこれは4〜5月ぶんの 400,000円 まで3期の費用にしている。 原因(4〜5月の勤務)がまだ起きていないので、4要件の②を満たさない。 結果は対抗案1の裏返しで、3期の利益が 400,000円 過少、4期が 400,000円 過大になる。 多めに積むのも、少なめに積むのも、同じだけ利益を歪める。 「安全側だからいい」という理屈が通らないのは、次の期の利益を先食いしているからだ。
Q. 賞与引当金と未払費用は、どちらも「まだ払っていない人件費」なのに、なぜ科目が違うのか。 A. 金額が確定しているかどうかで分かれる。3月分の給与を4月に払うのは、 金額も相手も日付も確定した債務なので未払費用。 賞与は査定や在籍状況で最終額が動くので、確定債務ではなく見積り=引当金になる。 **確定していれば「未払」、見積りなら「引当」**と押さえるとまず外さない。
Q. 引当金を積んでも現金は減らない。では会社は6月にどうやって 1,200,000円 払うのか。 A. 引当金は現金を別口座に取り分ける手続きではなく、帳面上の費用と負債の記録にすぎない。 だから引当金を積んだからといって、支払いの原資が用意されるわけではない。 逆に言えば、引当金が積み上がっている会社は「将来出ていく金の予告」を抱えている状態で、 資金繰りを見るときはそこを別に確認することになる。
Q. 4要件を満たさない将来の損失は、何も書かなくていいのか。 A. 帳面には載せないが、金額が大きく発生の可能性がある程度に見込まれるものは、 「偶発債務」として財務諸表の注記で説明する扱いになっている。 帳面に数字として載せるか、文章で知らせるかの二段構えで、 確からしさが足りないものは数字にしないという線を守っている。
flowchart TD
A[将来出ていく金・入らない金] --> B{4要件を満たすか}
B -- 満たさない --> X[計上しない<br/>注記で説明]
B -- 満たす --> C{払う義務か 資産の目減りか}
C -- 払う義務 --> D[負債性引当金<br/>賞与・退職給付・修繕・商品保証]
C -- 資産の目減り --> E[評価性引当金<br/>貸倒引当金 boki3-ch08-s01]
D --> F[翌期に取り崩す]
D --> G[税務は原則みとめない<br/>boki2-ch09-s01]
2028年10月1日、みずほ食品は彦根の湖北麺業から乾麺事業を譲り受けた。 引き継いだ資産(工場設備・商品・売掛金)が 18,000,000円、 一緒に引き受けた負債(買掛金・借入金)が 6,000,000円。差引の正味は 12,000,000円 だ。 ところが社長が払った金額は 14,000,000円 だった。
七海の疑問はここで止まる。12,000,000円 のものに 14,000,000円 を払ったのなら、 差額の 2,000,000円 はどこへ消えたのか。損なのか。
消えていない。社長が 2,000,000円 上乗せしたのは、 帳簿に載っていないが確かに稼いでいる何かを買ったからだ。 湖北麺業には30年つき合っている問屋があり、乾麺の乾燥時間の勘所を知っている職人がいて、 「湖北の乾麺」という名前で棚を取れている。これらは1つずつ値段が付いた資産ではないが、 まとめて「この事業は正味財産以上に稼ぐ」という期待を作っている。 その期待に付いた値段がのれんだ。
【必然】 のれんが借方に立つのは、貸借を合わせるための調整ではなく、
支払った 14,000,000円 の行き先が、受け入れた正味財産 12,000,000円 では足りないからだ。
出ていった金には必ず行き先がある。行き先が個別の資産で説明できない部分が、のれんとして残る。
覚え方の取っ掛かりは「高く買った理由が、そのまま資産の名前になる」。
そして、のれんは20年以内に定額法で償却する(日本の会計基準)。
なぜ償却するのか。買った時点で見込んだ「稼ぐ力」が、永久に続く保証はどこにもないからだ。
問屋は代替わりするし、職人は引退するし、名前は忘れられる。
【要請】 買った超過収益力は年々使い減りしていくものと見て、
その効果が及ぶ期間にわたって費用にする——これも費用収益対応の一形態になる。
事業や会社を買う案件が持ち込まれたとき、審査で最初に確かめられるのは 「買収価額のうち、いくらがのれんか」だ。
理由は2つある。1つは返済原資の話。のれんの償却費は現金が出ていかない費用なので、 返済能力を見るときは利益に足し戻す。みずほ食品なら年 200,000円 が足し戻せる。 もう1つは担保と純資産の話。のれんは売って換金できる資産ではないので、 実質純資産を見るときにはのれんを控除して計算されることが多い。 純資産 8,000,000円 のうち 2,000,000円 がのれんなら、実質は 6,000,000円 とみる、という具合だ。
だから買収の資金計画では、のれんが大きいほど「償却で毎年利益が削られる」「実質純資産が薄い」の 二重で厳しく見られる。買った側にとっては、のれんが小さいほど後が楽になる。
で、幹の話に戻ると、のれんは「高く買った理由」を資産の形で残した記録であって、 換金できる財産ではない。だから償却して確実に減らしていく必要がある。
3期目に、目に見えない支出が3種類出てくる。扱いは全部ちがう。
| 支出 | 金額 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|---|
| 乾麺事業の譲受(正味財産超過分) | 2,000,000 | 無形固定資産(のれん)/10年償却 | 超過収益力を買った。効果は数年続く |
| 受注管理システムの導入 | 3,000,000 | 無形固定資産(ソフトウェア)/5年償却 | 自社で使い、確実に事務費が減る |
| 米粉麺の新製品開発 | 1,500,000 | 全額 研究開発費(費用) | 商品になるか分からない |
のれんの償却:2,000,000円 ÷ 10年 = 年 200,000円。 10月1日の取得なので当期は6か月分、200,000 × 6 ÷ 12 = 100,000円。 期末の のれん残高は 1,900,000円 になる。
ソフトウェアの償却:自社利用のソフトウェアは、 「将来の収益獲得または費用削減が確実」と言えるときだけ資産にできる。 受注管理システムはFAXの転記作業をなくすもので、削減効果がはっきりしている。 3,000,000円 ÷ 5年 = 年 600,000円。10月1日稼働なので当期は 300,000円。
研究開発費:米粉麺は試作段階で、売れるかどうかも、そもそも商品になるかも分からない。 金額の大小に関係なく、発生した期に全額費用にする。
goodwill は「(客の)好意」で、着眼点は同じ。詳しくは小話。事業譲受で1回通す。
一般化すると、のれん = 支払った対価 − 受け入れた純資産(資産の時価 − 負債の時価)。 そして無形固定資産の償却は、減価償却と違って 残存価額をゼロにし、直接法(資産から直接減らす)で書くのが基本になる。 減価償却累計額のような相手科目を立てないので、 帳簿価額がそのまま貸借対照表に出る。
10/1 乾麺事業を譲り受け、対価 14,000,000円を当座預金から支払
(借) 諸 資 産 18,000,000 (貸) 諸 負 債 6,000,000
(借) の れ ん 2,000,000 (貸) 当座預金 14,000,000
10/1 受注管理システム 3,000,000円を当座預金で購入
(借) ソフトウェア 3,000,000 (貸) 当座預金 3,000,000
期中 米粉麺の試作に 1,500,000円を支出
(借) 研究開発費 1,500,000 (貸) 当座預金 1,500,000
3/31 のれん・ソフトウェアの償却(6か月分)
(借) のれん償却 100,000 (貸) の れ ん 100,000
(借) ソフトウェア償却 300,000 (貸) ソフトウェア 300,000
対抗案1:のれんは償却せず、価値が落ちたときだけ減らす
国際的な会計基準ではこの扱いになっている。それでも日本基準が償却を選んでいる理由は数字で見ると分かる。 みずほ食品ののれん 2,000,000円 を償却しない場合、10年後も貸借対照表には 2,000,000円 が載り続ける。 ところが5年目に湖北の問屋が代替わりして取引が半減したとしよう。 償却していれば残高は 1,000,000円 まで落ちていて、傷は 1,000,000円 で済む。 償却していなければ 2,000,000円 が丸ごと一度に減損として落ち、その期だけ利益が 2,000,000円 吹き飛ぶ。 価値が落ちたことに誰かが気づくまで、資産が過大なまま放置されるのが償却しない方式の弱点で、 規則的に減らしておけばその危険を毎年少しずつ均せる。
対抗案2:研究開発費を資産にして、5年で償却する
米粉麺の 1,500,000円 を資産にすれば、当期の費用は 300,000円 で済む。 3期目の利益は 1,200,000円 多く見える。社長は喜ぶし、銀行への見栄えもいい。 だが米粉麺が売れずに開発中止になった瞬間、資産 1,200,000円 は一円の価値もなくなり、 その期に全額が損失として落ちる。 資産とは「将来の収益をもたらすもの」で、成果が出るか分からないものを資産に置くと、 貸借対照表の資産合計が、換金も回収もできない数字で水増しされる。 だから研究開発費は、金額の大小にかかわらず発生した期の費用にする。
Q. 負ののれんは、なぜ資産のマイナスではなく収益になるのか。 A. 正味 12,000,000円 の事業を 10,000,000円 で買えたなら、差額 2,000,000円 は 買った瞬間に得をした分で、将来に効果が及ぶ何かを取得したわけではない。 将来へ繰り延べる理由がないので、取得した期の特別利益(負ののれん発生益)として一度に計上する。 のれんが「将来にわたって効いてくるものだから償却」なのと、ちょうど裏返しになっている。
Q. ソフトウェアと研究開発費の線は、実際どこで引くのか。 A. 「その支出で将来の収益が増えるか、費用が減るか」が確実と言えるかで引く。 受注管理システムはFAX転記という具体的な作業が消えるので確実側。 米粉麺は売れるかどうかから分からないので不確実側。 迷ったときは費用にするのが原則で、確実だと言い切れるものだけを資産に上げる。
Q. のれんを買った代金は、そのまま税金の計算でも費用になるのか。 A. そこがずれる。会計ののれん償却と、税務上の「資産調整勘定」の償却は年数の考え方が違い、 賞与引当金などと同じく会計の費用と税務の損金が食い違う。 このずれを帳面でどう扱うかが第9章の税効果会計になる。 本章の引当金も無形資産も、次章以降の入口として効いてくる。
flowchart TD
A[形の無いものへの支出] --> B{外から買ったか}
B -- 自社で開発中 --> C{成果は確実か}
C -- 不確実 --> D[研究開発費<br/>全額費用]
C -- 確実に費用が減る --> E[ソフトウェア<br/>5年定額償却]
B -- 事業ごと買った --> F[のれん<br/>対価 − 受入純資産]
F --> G[20年以内 定額償却]
F -.安く買えた場合.-> H[負ののれん発生益<br/>収益]
G --> I[連結ののれん<br/>boki2-ch12-s02]
G --> J[税務とのずれ<br/>boki2-ch09-s01]
正解: 2
正解: 3
正解: 1
正解: 4
参照: boki2-ch07-s01