みずほ食品の帳面でいちばん大きな金額が動いたのは、創業5日目だった。 第1章で見たとおり、2026年4月5日に中古の製麺機を1,200,000円で買っている。 1期目の売上は11,500,000円なので、1日の出費としては桁が違う。
このとき七海が書いた仕訳は「(借) 備品 1,200,000 / (貸) 現金 1,200,000」の1行だけだった。 第1章では「来期以降も使えるものは資産、その場で消えるものは費用」という線引きだけを見て、 そこで話を止めてある。だがこの1行には、まだ手を付けていない問いが2つ残っている。
1つ目はこの1,200,000円という金額はどうやって決まったのか。 機械屋の請求書は1行ではなく、本体価格と運賃と据付費の3行に分かれていた。 どこまでを「製麺機」の金額に含めるのかは、実は自明ではない。
2つ目はこの1,200,000円はいつ費用になるのか。 資産にした以上、買った年には費用にならない。しかし機械は8年で使いものにならなくなる。 8年後にまとめて1,200,000円の費用にするのか、それとも毎年少しずつなのか。
この2つを扱うのが、取得原価と減価償却だ。そして3つ目に、途中で手放したときの始末を見る。 1期目の貸借対照表に載っている「備品 1,050,000」という数字は、 この章の作業が終わったあとの姿になっている。
減価償却が実務として定着したのは、19世紀イギリスの鉄道会社だったとよく紹介される。 それまでの商売は、仕入れた物を売って利益を出すという1年で完結する形が中心で、 何十年も使う巨大な設備をどう扱うかという問題が、そもそも大きくならなかった。
鉄道は違った。線路、橋、トンネル、駅舎、機関車。開業までに投じる金額が桁違いで、 しかもそれらは何十年も使う。開業した年にすべてを費用にすれば、その年は巨額の赤字になる。 翌年からは設備費がゼロなので、いきなり高収益企業に見える。 鉄道会社は株式で広く資金を集めていたので、この数字の乱高下は致命的だった。 配当を出せるかどうかは利益で決まるのに、その利益が設備を買った年かどうかで決まってしまう。
そこで「設備の値段を、使う年数に割り振って毎年の費用にする」という処理が持ち込まれた。 議論は当時から荒れていて、何年で割るのが正しいかは会社ごとにばらばらだったという。 やがて年数の目安が法令や税制で整えられ、いまの形になっていく。
だから減価償却は、機械が壊れたことを記録する手続きではない。 株主に毎年の成績を見せるために、大きな支出を年に配る必要があったという、 外向きの要請から生まれた仕組みだと押さえておくと、 「価値が減ったかどうか誰も測っていないのに費用にする」という違和感が小さくなる。
帳簿の上では、耐用年数はその会社が「何年使うか」を自分で見積もることになっている。 ところが実務で耐用年数の見積りに悩む場面はほとんど無い。 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という財務省令に、 資産の種類・構造・用途ごとの年数が細かく定められているからだ。
たとえば建物は構造と用途で分かれていて、鉄筋コンクリート造の事務所なら50年、 木造の工場ならもっと短い。機械装置は業種ごとに区分され、食料品製造業の設備には その業種の年数が当てられる。車両運搬具、工具器具備品も同様に一覧になっている。
なぜ会計の見積りに税務の表が使われるのか。理由は単純で、 法定耐用年数より短い年数で計算した費用は、税務上は認められないからだ。 自分で5年と見積もって計算しても、税務署が8年と見れば、 差額は課税所得に足し戻される。手間が増えるだけで税金は減らない。 だから多くの会社が、最初から法定耐用年数をそのまま使う。
3級の問題文で耐用年数が最初から与えられているのは、この事情を省略しているためだ。 耐用年数は「決める」ものではなく「調べる」ものだと思っておくと、 実務に出たときのずれが小さくなる。
2026年4月5日、大垣の機械商から届いた請求書は3行だった。
| 摘要 | 金額 |
|---|---|
| 中古製麺機 本体 | 1,150,000 |
| 引取運賃(工場までの輸送) | 30,000 |
| 据付・試運転費 | 20,000 |
| 合計 | 1,200,000 |
七海が最初に書こうとしたのは「備品 1,150,000/発送費 30,000/修繕費 20,000」という3行の仕訳だった。 運賃は運賃、工事は工事で、それぞれ費用にするほうが素直に見える。 実際、貸方の現金1,200,000円は変わらないので、この書き方でも貸借は合う。
それでも簿記は、3行とも備品に含めて1,200,000円にしろと言う。
【必然】 理由は、その機械が「使える状態」になるまでにかかった支出だからだ。
機械商の倉庫に置いてある製麺機は、みずほ食品にとってまだ1食の麺も作らない。
工場まで運んで、床に据えて、試運転で調整して、そこではじめて麺を作る道具になる。
運賃と据付費を払わなければ、この機械は永久に麺を作らない。
つまり運賃30,000円と据付費20,000円は、本体1,150,000円と一体になって初めて意味を持つ支出で、
本体だけを切り出して「これが機械の値段」と言うことに根拠がない。
覚え方の取っ掛かりは「動き出すまでの金は、全部その物の値段」。
この考え方は、実はすでに第4章で1度出ている。 6月3日に小麦粉400,000円を仕入れ、引取運賃8,000円を自社で負担したとき、 仕入を408,000円で計上した。運賃を払わなければ小麦粉は工場に着かず、麺の材料にならないからだ。 仕入諸掛と固定資産の付随費用は、名前が違うだけで発想がまったく同じになっている。 違うのは、小麦粉は数か月で売れて費用になるが、機械は8年かけて費用になるという長さだけだ。
【要請】 もう1つ、金額を決めるうえで外せない線がある。
買った後に払った金は、原則として取得原価に足さない。
固定資産税、火災保険料、月々の電気代は、機械を持ち続けるための費用であって、
機械を使える状態にするための支出ではない。ここを混ぜると、資産の金額が毎年ふくらみ続けてしまう。
同じ理由で、壊れたところを直しただけの支出も取得原価には足さない。 第6章で出てきた12月15日の工場シャッター修理150,000円がそれで、 これは修繕費という費用になる。 シャッターを直しても工場が前より良くなったわけではなく、元に戻っただけだからだ。
固定資産の「固定」は、fixed assets の訳語として明治期に定着したものだ。
fixed には「固定された・据え付けられた」という意味があるので、
建物や機械のように動かせない物というイメージで受け取られやすい。
だが車両運搬具も固定資産だし、動かして使う工具も固定資産になる。
もともとの区別は、動くか動かないかではなく、会社の中でどのくらいの速さで姿を変えるかにあった。
商品や売掛金は1年以内に現金へ姿を変えていく(だから流動資産、current assets=流れている資産)。
機械や建物は何年もその形のまま会社の中に居座り、少しずつ費用に変わっていく。
fixed はこの「動きが遅い・形が固まっている」ほうを指していて、
日本語の「固定」もその意味で当てられた、という説明が一般的だ。
※覚え方として、1年以内に現金になるかを境目に置いておくとよい。 これは1年基準(ワン・イヤー・ルール)と呼ばれ、第12章の 貸借対照表の並べ方でもう一度出てくる。
で、幹の話に戻ると、固定資産は「動かない物」ではなく「何年もかけて費用に変わっていく物」で、 だからこそ取得原価をいくらにするかが、その先の何年ぶんもの費用に効いてくる。
設備を導入するとき、社内の稟議書や補助金の申請書に書く金額は、機械の本体価格だけでは足りない。 輸送費、据付工事費、電源工事、基礎の打設、既設設備の撤去費まで含めて、 その設備が動き出すまでに必要な総額を出さないと、あとで資金が足りなくなる。
リースの見積りを作る場面でも同じことが起きる。 リース料の計算の元になる物件価格には、本体だけでなく据付費や運賃を含めるのが普通で、 「本体だけリースにして工事費は自己資金」という組み方をすると、 借り手の手元資金が想定より減る。逆に工事費まで含めれば、 初期の持ち出しをほぼゼロにできる。どこまでを物件価格に入れるかは、 会計の取得原価の考え方と、実務の資金繰りの都合が、たまたま同じ方向を向いている場面になる。
補助金の対象経費でも同じ論点が出る。制度によって、機械本体は対象だが 既存設備の撤去費は対象外、といった線引きがあり、 会計上の取得原価と補助対象額がずれることがある。 だから見積書は最初から「本体/付随費用」の内訳が分かる形でもらっておく。
で、幹の話に戻ると、取得原価に何を含めるかという問いは、 帳面の中だけの話ではなく、その設備がいくらで動き出すのかという実務の問いとそのまま重なっている。
みずほ食品が1期目に取得した固定資産は、製麺機1台だけだ。
| 内訳 | 金額 | 取得原価に含めるか | 理由 |
|---|---|---|---|
| 中古製麺機 本体 | 1,150,000 | 含める | 資産そのもの |
| 引取運賃 | 30,000 | 含める | 工場に着かなければ使えない |
| 据付・試運転費 | 20,000 | 含める | 据えて調整しなければ動かない |
| 取得原価 | 1,200,000 | ||
| (参考)4月分の電気代 | 18,000 | 含めない | 使い始めた後の維持費 |
| (参考)12/15 シャッター修理 | 150,000 | 含めない | 元に戻しただけ(第6章) |
2期目に入ると、みずほ食品はもっと大きな買い物をする。 1期目は工場を借りていて、損益計算書に支払家賃2,400,000円が載っていた。 2027年10月1日、社長は借りていた工場をそのまま買い取ることにした。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 建物本体(第1工場) | 5,700,000 |
| 仲介手数料 | 180,000 |
| 所有権移転登記の費用 | 120,000 |
| 取得原価 | 6,000,000 |
仲介手数料も登記費用も、その建物を自社の物として使い始めるために避けて通れない支出なので、 建物の取得原価に含める。この6,000,000円という金額は、 3期目に減価償却費200,000円を生む元になる(boki2-ch05-s01)。
equipment(装備・設備)に近い。
みずほ食品の製麺機が備品になっているのは、建物でも車両でもない機械設備だからで、
試験では機械装置と区別せず備品でまとめて出題されることが多い。4月5日の請求書で1回通す。
同じ手順を10月1日の建物に当てると、5,700,000 + 180,000 + 120,000 = 6,000,000円になる。
一般化すると、取得原価 = 購入代価 + 付随費用。 付随費用とは、引取運賃・据付費・試運転費・仲介手数料・登記費用・関税など、 取得してから使い始めるまでの間に生じた支出を指す。 この式が「購入代価」から始まっているのは、まず請求書の本体価格があって、 そこに「使える状態にするための上乗せ」が乗る、という順で現実の取引が進むからだ。 式を先に覚えるより、「動き出すまでか、動き出した後か」を毎回聞くほうが確実に当たる。
2026/4/5 製麺機を購入(本体1,150,000・運賃30,000・据付費20,000、すべて現金)
(借) 備 品 1,200,000 (貸) 現 金 1,200,000
2026/4/30 4月分の電気代 18,000円を現金で支払
(借) 水道光熱費 18,000 (貸) 現 金 18,000
2026/12/15 工場シャッターの修理 150,000円、支払は翌月末
(借) 修 繕 費 150,000 (貸) 未 払 金 150,000
2027/10/1 第1工場を購入(本体5,700,000・仲介手数料180,000・登記費用120,000、当座預金)
(借) 建 物 6,000,000 (貸) 当座預金 6,000,000
対抗案1:運賃30,000円と据付費20,000円を、その場で費用にする
いちばん自然に見える案で、実際に現金は出ていっている。 みずほ食品の1期目で何が起きるかを数字で見る。
| 取得原価に含める(正) | その場で費用にする | |
|---|---|---|
| 備品の取得原価 | 1,200,000 | 1,150,000 |
| 1期目の減価償却費(8年) | 150,000 | 143,750 |
| 1期目に立つ運賃・据付費 | 0 | 50,000 |
| 1期目の費用合計(この件) | 150,000 | 193,750 |
| 2期目〜8期目の年間費用 | 150,000 | 143,750 |
1期目の費用が43,750円多く、以後7年間は毎年6,250円ずつ少なくなる。 金額は小さいが、方向がはっきりしている。買った年に費用が寄り、後の年が軽くなる。 機械が働くのは8年間なのに、費用の山だけが最初の年に立つことになり、 第1章で見た「1年ごとの成績を比べる」という目的が崩れる。
これが建物6,000,000円の話になると効き方が変わる。 仲介手数料180,000円と登記費用120,000円を費用にすると、 取得の期に300,000円の費用が立ち、以後30年の減価償却費が年10,000円ずつ小さくなる。 2期目の利益が300,000円押し下げられるので、 たとえば銀行に「今期は工場を買ったので利益が落ちた」と説明することになるが、 実際には買った物の価値は残っている。財産が減ったわけではないのに損が出た形になる。
対抗案2:固定資産税や火災保険料も、その機械の金額に足す
「その機械を持つために必要な支出だから」という理屈は一応通る。 だがこれをやると、備品の金額が毎年ふくらんでいく。 みずほ食品の製麺機に年20,000円の保険料が乗るとすると、 取得原価は1年目1,200,000円、2年目1,220,000円、3年目1,240,000円と増える。 一方で機械そのものは古くなっていく。古くなるほど帳簿価額が上がるという、 現実と逆向きの数字が並ぶことになる。 さらに減価償却の計算も、毎年分母(取得原価)が変わるので手が付けられなくなる。 取得原価は「動き出した時点で確定して、あとは動かさない」から計算が成立している。
Q. 運賃や据付費まで含めると、機械の「値段」ではなくなる気がする。中古の機械が1,200,000円で売れるわけではない。 A. そのとおりで、取得原価はその資産の時価ではない。 簿記が記録しているのは「この会社がこの資産を使えるようにするために、いくら払ったか」という事実で、 いま売ればいくらかという評価とは別のものになっている。 時価で毎年書き換えると、誰が評価したかによって帳面が動いてしまい、外から検証できなくなる。 払った金額なら請求書と領収書が残っているので、誰が見ても同じ数字になる。 この「事実として検証できる数字で持つ」という方針を取得原価主義といい、 第8章の貸倒引当金のように見積りを使う場面は例外扱いになっている。
Q. 引取運賃を売る側が負担してくれた場合は、どうなるのか。 A. こちらが払っていないので、取得原価には入らない。 仕入諸掛と同じ考え方で、 自社が負担した分だけが自社の帳面に乗る(第4章)。 請求書に運賃が載っていなければ、そもそも払っていないので何も足すものがない。
Q. 買った直後に故障して修理した場合は、修繕費か取得原価か。 A. 「使える状態になったのはいつか」で切れる。 納品されたが動かず、動かすために手を入れたのなら、それはまだ使える状態になっていないので取得原価。 1か月動かして麺を作ったあとで壊れたなら、すでに使える状態になっていたので修繕費になる。 判定に迷うときは「その修理の前に、この資産は仕事をしていたか」と聞くとよい。
flowchart LR
A[固定資産を買う] --> B{使える状態にするための支出か}
B -- はい --> C[取得原価に含める<br/>boki3-ch07-s01]
B -- いいえ・維持のため --> D[費用<br/>水道光熱費・保険料]
B -- いいえ・元に戻した --> E[修繕費<br/>boki3-ch07-s01]
C --> F[減価償却<br/>boki3-ch07-s02]
F --> G[売却・除却<br/>boki3-ch07-s03]
C -.同じ発想.-> H[仕入諸掛<br/>boki3-ch04-s03]
E -.前より良くしたら.-> I[資本的支出<br/>boki2-ch05-s02]
2027年3月31日、1期目の決算日。七海の手元には、この1年に起きた取引がすべて記録されている。 売上11,500,000円、仕入7,500,000円、家賃、給料、電気代。 どれも「その年に使い切ったもの」なので、迷わず費用になる。
引っかかったのは製麺機だった。1,200,000円を払ったのは去年の4月5日で、 その金は帳面の上では備品という資産のまま、1年間まったく動いていない。 だが工場に行けば、機械は明らかに1年ぶん古くなっている。 ベルトは伸び、刃は減り、いつかは動かなくなる。
【要請】 ここで簿記が採る立場ははっきりしている。
機械が働いた分は、その年の費用として認識する。
理由は第8章の貸倒引当金とまったく同じで、費用収益対応にある。
この1年の売上11,500,000円は、製麺機が動いたからこそ生まれた。
売上という成果が1期目に立っているのに、その成果を生んだ機械の犠牲だけが
8年後にまとめて立つのでは、どの年の利益も本当の数字ではなくなる。
【必然】 そして、どのくらい働いた分を費用にするかは、計算で決めるしかない。
機械の価値が1年でいくら減ったかを誰も測れないからだ。
だから「8年で使い切る物を、8年で均等に配る」という取り決めを置く。
1,200,000 ÷ 8年 = 150,000円。これが1期目の損益計算書に載っている減価償却費の正体だ。
覚え方の取っ掛かりは「買った日にまとめて払った8年分の使用料を、毎年1年分ずつ思い出す」。
減価償却という考え方が実務として広まったのは、19世紀イギリスの鉄道会社だったとされる。 線路・橋・機関車・駅舎に投じる金額が、それまでの商売とは桁違いに大きく、 しかも何十年も使う。開業した年に全部を費用にすれば、その年は巨額の赤字になり、 翌年からは費用がほとんど無い会社に見えてしまう。
当時の鉄道会社は株式で資金を集めていたので、これは深刻な問題だった。 配当を出せるかどうかは利益で決まる。開業年に大赤字、翌年から大黒字という数字が並べば、 株主は何を見て判断してよいか分からない。 そこで「設備の値段を、使う年数に割り振って毎年の費用にする」という処理が持ち込まれた、 という経緯が会計史でよく紹介される。
日本語の「減価償却」は depreciation の訳語で、
de-(下に)+ pretium(値段)というラテン語系の語構成、つまり「値打ちが下がること」を指す。
漢字のほうは、価値が減った分を償(つぐな)って却(しりぞ)けると読める。
費用として償い、資産の帳簿価額から却けていく、という2つの動きが名前に入っている。
で、幹の話に戻ると、減価償却は機械が壊れたことを記録する手続きではなく、 大きな支出を、それが働く年数に配るための手続きとして生まれている。
第1章でも触れたが、減価償却費は費用のなかで特別な性格を持っている。 その年に現金が1円も出ていかない。現金が出ていったのは買った年の1回きりで、 以後7年間は帳面の中だけで費用が立つ。
このため、融資やリースの審査で「この会社は年いくら返せるか」を見るときは、 当期純利益に減価償却費を足し戻した金額を使う。 みずほ食品なら 800,000 + 150,000 = 950,000円。 借入金1,500,000円なら単純計算で1.6年ぶん、という読み方をする。 この足し戻した数字を簡易キャッシュフローと呼ぶことが多い。
もう1つ、決算書を読むときに効くのが減価償却をしていない会社の見分けだ。 中小企業では、赤字を避けるために減価償却費を計上しない(または一部だけ計上する)ことがある。 税務上は認められる余地があるが、その決算書の利益は、 本来立つべき費用が抜けた状態の利益になっている。 固定資産の残高が大きいのに減価償却費が極端に小さい年があれば、 そこを疑って、償却前の利益で比べ直すことになる。
で、幹の話に戻ると、減価償却費は現金の動きを伴わない費用なので、 利益とキャッシュが一致しない代表的な原因になる。この性質は、 計算の仕方より先に覚えておくと、あとで効いてくる。
取得原価1,200,000円、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法。 毎期の償却額は 1,200,000 ÷ 8 = 150,000円で、8年間ずっと同じ金額になる。
| 期 | 期首の帳簿価額 | 当期の減価償却費 | 期末の減価償却累計額 | 期末の帳簿価額 |
|---|---|---|---|---|
| 1期目(2026年度) | 1,200,000 | 150,000 | 150,000 | 1,050,000 |
| 2期目 | 1,050,000 | 150,000 | 300,000 | 900,000 |
| 3期目 | 900,000 | 150,000 | 450,000 | 750,000 |
| 4期目 | 750,000 | 150,000 | 600,000 | 600,000 |
| … | ||||
| 8期目 | 150,000 | 150,000 | 1,200,000 | 0 |
1期目の期末の帳簿価額1,050,000円が、第1章の貸借対照表に載っている 「備品 1,050,000」だ。ここで大事なのは、備品という科目の金額は1,200,000円のまま動いていないこと。 減った分は減価償却累計額という別の科目に積まれていて、 貸借対照表では次のように並ぶ。
| 資産 | 金額 |
|---|---|
| 備品 | 1,200,000 |
| 減価償却累計額 | △150,000 |
| (差引) | 1,050,000 |
この形にすると、もともといくらで買ったかとそのうちいくら費用にしたかの両方が読める。 1,050,000円という1行だけを書く方法(直接法)もあるが、 その場合は取得原価も償却の進み具合も帳面から消える。 3級で問われるのは、上の形(間接法)のほうだ。
なお3期目には、資産が4つ・計算方法が3つに増える。 そちらはboki2-ch05-s01で扱う。この節で押さえるのは、 毎期同じ額を配る定額法と、累計額を横に置く間接法の2つだけになる。
depreciation は de-(下へ)+ pretium(値段)で「値打ちが下がること」。
日本語は下がった分をどう処理するか(償う・却ける)まで名前に入れている点が違う。1期目の決算で1回通す。
一般化すると、定額法の1年分は (取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数。 残存価額を先に引くのは、8年後に100,000円で売れると見込んでいるなら、 費用として配るべきなのは1,200,000円ではなく1,100,000円だからだ。 みずほ食品のようにゼロなら、そのまま取得原価を年数で割ればよい。
この式で事故が起きるのは、2の残存価額を読み飛ばしたときだ。 「残存価額は取得原価の10%」と問題文にあれば、 (1,200,000 − 120,000) ÷ 8 = 135,000円になり、答えが15,000円ずれる。 なお2007年度の税制改正以降、日本の税務では原則として残存価額をゼロとして計算するので、 実務で10%を見ることはほとんど無くなった。試験では指示に従う。
2027/3/31 決算。備品(取得原価1,200,000・耐用年数8年・残存価額ゼロ・定額法・間接法)
(借) 減価償却費 150,000 (貸) 備品減価償却累計額 150,000
2028/3/31 決算。2期目も同額
(借) 減価償却費 150,000 (貸) 備品減価償却累計額 150,000
対抗案1:買った年に1,200,000円を全額費用にする
現金が出ていった年に費用にするので、いちばん分かりやすい。 みずほ食品の1期目と2期目を並べる(2期目の売上・仕入・その他の条件は1期目と同じとする)。
| 減価償却する(正) | 買った年に全額費用 | |
|---|---|---|
| 1期目の減価償却費 | 150,000 | 1,200,000 |
| 1期目の当期純利益 | 800,000 | △250,000 |
| 2期目の減価償却費 | 150,000 | 0 |
| 2期目の当期純利益 | 800,000 | 950,000 |
| 2期分の合計利益 | 1,600,000 | 700,000 |
1期目が250,000円の赤字、2期目が950,000円の黒字。 機械は2年とも同じように動いているのに、業績が急回復した会社に見える。 創業1年目で赤字を出せば、銀行から追加の融資を受けるのは難しくなる。 逆に2期目の950,000円を見て「回復した」と読むのも間違いで、 実際には費用が抜けているだけだ。どちらの年の数字も、比べるための土台にならない。
さらに、8年間の合計で見ると費用は同じ1,200,000円になる。 総額は変わらないのに、どの年に置くかだけで会社の見え方が変わる。 だからこそ、どの年に置くかを個々の判断に任せず、 「取得原価 ÷ 耐用年数」という誰がやっても同じになる方法で決めている。
対抗案2:帳簿価額を直接減らす(直接法で備品を1,050,000にする)
貸借対照表に「備品 1,050,000」と1行で載るので、見た目はすっきりする。 壊れるのは、その1行から読み取れる情報の量だ。
| 間接法(正) | 直接法 | |
|---|---|---|
| 貸借対照表の表示 | 備品 1,200,000 / 累計額 △150,000 | 備品 1,050,000 |
| 取得原価が読めるか | 読める | 読めない |
| 何年使ったかが読めるか | 累計額 ÷ 150,000 で読める | 読めない |
| 資産を手放すときの計算 | 累計額を消せばよい | 取得原価が分からない |
4期目に貸借対照表を見た人は、間接法なら「1,200,000円の機械を、これまで600,000円ぶん使ってきた」 と読める。直接法だと「600,000円の備品がある」としか読めず、 それが600,000円で買った新品なのか、1,200,000円で買って半分使った物なのかが区別できない。 第7章の売却では取得原価と累計額の両方を使うので、 直接法だと売却損益の計算そのものができなくなる。
Q. 8年という年数は誰が決めたのか。社長が「20年使う」と言えば20年でよいのか。 A. 会計の建前としては、その会社が実際に使うと見込む年数(耐用年数)を自分で見積もる。 ただし見積りを各社が自由に決めると、同じ機械でも会社によって費用が変わり、比較できなくなる。 そこで実務では、税法の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で 資産の種類ごとに定められた年数(法定耐用年数)をそのまま使うのが一般的だ。 税務上、法定耐用年数より短い年数で計算した分は費用として認められないので、 わざわざ違う年数を使う理由がほとんど無い。 試験では耐用年数が問題文で与えられるので、迷う場面は出てこない。
Q. 現金が出ていかないのに費用にするのは、貸倒引当金と同じで気持ちが悪い。 A. 引っかかる場所は同じでも、中身は逆になっている。 貸倒引当金はこれから起きるかもしれない損を先に見る処理で、見積りが外れる可能性がある。 減価償却はすでに起きた支出を、後の年に配っている処理だ。 1,200,000円は去年すでに出ていっていて、その事実は動かない。 動かしているのは「その1,200,000円をどの年の費用として数えるか」という置き場所だけになる。 現金が出ていく年と、費用になる年がずれているだけ、と考えるとよい。
Q. 機械が8年より早く壊れたら、残っている帳簿価額はどうなるのか。 A. 壊れて使えなくなった時点で、残っている帳簿価額を一気に費用にする。 売って現金になるなら固定資産売却損益(次の節)、 売れずに廃棄するなら固定資産除却損という科目になる。 除却のほうは2級の範囲で、boki2-ch05-s02で扱う。 いずれにしても、見積りが外れたと分かった期に、そこまでの差を一気に精算するという形になる。
flowchart TD A[取得原価 1,200,000<br/>boki3-ch07-s01] --> B[耐用年数 8年で割る] B --> C[減価償却費 150,000<br/>P/Lへ] B --> D[減価償却累計額<br/>B/Sで備品から控除] C --> E[決算整理<br/>boki3-ch12-s01] D --> F[売却・除却<br/>boki3-ch07-s03] C -.同じ発想.-> G[貸倒引当金繰入<br/>boki3-ch08-s01] B -.方法が増える.-> H[定率法・生産高比例法<br/>boki2-ch05-s01]
2期目に入ると、みずほ食品の固定資産は1台では済まなくなる。 2027年4月1日、社長は中古の配送用バンを600,000円で買った。 それまでは運送業者に頼んでいた近隣への配達を、自社で回すためだ。 そして同じ年の10月1日、借りていた第1工場を6,000,000円で買い取っている。
ここで、これまでの計算がそのままでは使えなくなる。
配送用バンは期首の4月1日に買ったので1年まるまる使っているが、
第1工場は10月1日からの6か月しか使っていない。
【必然】 減価償却が「働いた分を費用にする」手続きである以上、
半年しか働いていない資産に1年分の費用を付けることはできない。
そこで、取得した月から決算日までの月数で按分する。これが月割りだ。
そして11月30日、配送用バンを手放すことになった。 7月に一度大きな修理が入り、11月にまた同じ箇所が不調になったので、社長が見切りをつけた。 中古車業者に480,000円で売り、代金は翌月末に受け取ることにした。
売却で必要になる考え方は1つだけだ。
【要請】 売った日までの分は、当期の費用として計上してから売る。
4月1日から11月30日までの8か月間、バンは実際に走って麺を届けている。
その8か月分の減価償却費を飛ばして売却の計算をすると、
働いた分が費用にならず、代わりに売却損として計上されてしまう。
同じ金額でも、通常の営業費用として出るか、資産を手放した損として出るかで、
損益計算書の読まれ方が変わる。
覚え方の取っ掛かりは「売る前に、その年の分だけ償却してから売る」。
配送用バンの代金480,000円は、翌月末に受け取ることになっている。 第6章で「未収入金のいちばん有名な発生原因は固定資産の売却代金」と書いたのが、 この場面だ。
みずほ食品が売っているのは麺であって、車ではない。 車の売却代金を売掛金にしてしまうと、 損益計算書の売上高11,500,000円と貸借対照表の売掛金残高を並べて計算する 回収期間の指標に、麺とは関係のない480,000円が紛れ込む。 さらに第8章で売掛金残高の2%を貸倒引当金として積むので、 中古車業者への債権にまで引当金が乗ることになる。
判定に迷ったときの聞き方は1つで、「これは損益計算書の売上高に載る取引か」。 載らないなら未収入金になる。
で、幹の話に戻ると、固定資産を売ったときに借方に立つのは、現金でなければ未収入金で、 売掛金ではない。売却損益の計算とは別に、ここで科目を1つ間違えやすい。
実務で車や機械を入れ替えるときは、単純な売却より下取りのほうが多い。 新車2,000,000円を買うときに旧車を800,000円で引き取ってもらい、差額1,200,000円を払う、という形だ。
このとき請求書には「差引1,200,000円」としか書いていないことがあるが、 帳簿では売却と購入を分けて書く。旧車を800,000円で売り、 新車を2,000,000円で買い、差額を払った、という3つの事実が同じ日に重なっているだけだからだ。 差額だけを書くと、新車の取得原価が1,200,000円になってしまい、 以後の減価償却費が本来の6割になる。旧車の売却損益も帳面から消える。
営業の側でこれが効いてくるのは、リースや割賦の見積りを作るときだ。 下取価額をいくらに置くかで、借り手が用意する初期資金と、 契約後に残る帳簿価額の両方が動く。下取りを高く見せて本体価格も高くする、 という組み方をすると、決算書上は取得原価も売却益も膨らむ。 見積書の「差引」の数字だけを見ていると、 借り手の帳簿で何が起きるかが読めなくなる。
買換えの仕訳そのものはboki2-ch05-s02で扱う。
で、幹の話に戻ると、下取りも結局は売却なので、 売った日までの減価償却を計上してから、帳簿価額と下取価額を比べるという この節の手順がそのまま使える。
2期目(2027年4月1日〜2028年3月31日)の固定資産を、時系列で並べる。
| 日付 | 出来事 | 金額 |
|---|---|---|
| 2027/4/1 | 中古の配送用バン(車両運搬具)を現金で購入。耐用年数5年・残存価額ゼロ | 600,000 |
| 2027/10/1 | 第1工場(建物)を当座預金で購入。耐用年数30年・残存価額ゼロ | 6,000,000 |
| 2027/11/30 | 配送用バンを売却。代金は翌月末に受け取る | 480,000 |
| 2028/3/31 | 決算。製麺機は2期目も定額法で償却 | — |
① 第1工場 — 期中取得の月割り
1年分の減価償却費は 6,000,000 ÷ 30年 = 200,000円。 使ったのは10月1日から3月31日までの6か月なので、 200,000 × 6 ÷ 12 = 100,000円が2期目の減価償却費になる。 3期目からは丸1年使うので、毎年200,000円になる(boki2-ch05-s01)。
② 配送用バン — 期中売却
1年分の減価償却費は 600,000 ÷ 5年 = 120,000円。 4月1日に買って11月30日に売っているので、使ったのは8か月。 120,000 × 8 ÷ 12 = 80,000円を、売る前に費用として計上する。
| 金額 | |
|---|---|
| 取得原価 | 600,000 |
| 期首の減価償却累計額 | 0(当期に取得したため) |
| 当期の減価償却費(8か月) | 80,000 |
| 売却時点の累計額 | 80,000 |
| 帳簿価額 | 520,000 |
| 売却価額 | 480,000 |
| 固定資産売却損 | 40,000 |
帳簿の上では520,000円の価値があると見ていた車が、480,000円でしか売れなかった。 その差40,000円が固定資産売却損になる。逆に560,000円で売れていれば、 40,000円の固定資産売却益になっていた。
③ 期首の累計額がある場合
配送用バンは当期に買って当期に売ったので、期首の累計額がゼロだった。 前の期から持ち越した資産を売るときは、ここに期首の累計額が乗る。 たとえば製麺機を3期目の6月30日に売ったとすると、 期首(3期目の4月1日)の累計額は2年分の300,000円、 当期3か月分の償却が 150,000 × 3 ÷ 12 = 37,500円なので、 売却時点の累計額は337,500円、帳簿価額は 1,200,000 − 337,500 = 862,500円になる。 計算の形は同じで、期首の累計額を足すかどうかだけが違う。
gain(loss) on sale of fixed assets と語順が違うだけの直訳関係になっている。
毎期起きるとは限らない臨時の損益なので、損益計算書では本業の利益とは別の欄に並ぶ。11月30日の配送用バンで1回通す。
一般化すると、売却損益 = 売却価額 −(取得原価 − 売却時点の減価償却累計額)。 売却時点の累計額は「期首の累計額 + 当期の月割り償却額」で出す。 この式が引き算だらけに見えるのは、比べているものが2つしかないからだ。 帳簿の上でいくらと見ていたか(帳簿価額)と、実際にいくらで売れたか(売却価額)、それだけになる。
期中取得のほうも同じ形で、1年分を出してから月数で按分する。 先に月数で割ってから年数で割ろうとすると順番を間違えやすいので、 「まず1年分」を固定しておくとよい。
2027/4/1 中古の配送用バンを現金で購入
(借) 車両運搬具 600,000 (貸) 現 金 600,000
2027/10/1 第1工場を購入(当座預金)
(借) 建 物 6,000,000 (貸) 当座預金 6,000,000
2027/11/30 配送用バンを480,000円で売却(代金は翌月末受取)
(借) 減価償却費 80,000 (貸) 車両運搬具 600,000
(借) 車両運搬具減価償却累計額 80,000
(借) 未収入金 480,000
(借) 固定資産売却損 40,000
2028/3/31 決算(建物は6か月分、備品は1年分)
(借) 減価償却費 100,000 (貸) 建物減価償却累計額 100,000
(借) 減価償却費 150,000 (貸) 備品減価償却累計額 150,000
対抗案1:期中に取得しても、1年分の減価償却費を計上する
計算が1つ減るので楽になる。第1工場でやってみる。
| 月割りする(正) | 1年分を計上 | |
|---|---|---|
| 2期目の使用期間 | 6か月 | 6か月 |
| 2期目の減価償却費 | 100,000 | 200,000 |
| 2期目の当期純利益への影響 | −100,000 | −200,000 |
| 30年間の合計償却額 | 6,000,000 | 6,100,000 |
まず、使っていない6か月分の100,000円が費用として立つ。 そのうえで最後の行を見てほしい。30年経つと、償却額の合計が取得原価を超える。 6,000,000円しか払っていない建物から6,100,000円の費用が出てくることになり、 どこかで帳簿価額がマイナスになる。 資産の価値がマイナスになるという状態は、その資産を持っているかぎりありえない。
逆に「期中取得の年は償却しない」という案も同じ理由で壊れる。 今度は6か月ぶん働いた分が永久に費用にならず、 30年後に100,000円の帳簿価額が残ってしまう。 月割りは丁寧さのためではなく、取得原価と償却額の合計を一致させるための仕組みだ。
対抗案2:売却する期は、当期の減価償却を省略する
売る資産なのだから償却しても意味がない、という考え方はできる。 配送用バンで比べる。
| 償却してから売る(正) | 償却せずに売る | |
|---|---|---|
| 減価償却費(8か月) | 80,000 | 0 |
| 売却時の帳簿価額 | 520,000 | 600,000 |
| 固定資産売却損 | 40,000 | 120,000 |
| 2期目の費用合計 | 120,000 | 120,000 |
費用の合計は120,000円で変わらない。壊れるのは中身の内訳だ。 右の列では、営業活動のために車を8か月走らせた費用80,000円が消え、 代わりに「資産を売って損した」という臨時の損失が120,000円立つ。 損益計算書では、減価償却費は本業の費用として営業利益より上に、 固定資産売却損は臨時の損益として営業利益より下に並ぶ。 つまり右の列は、営業利益が80,000円多く、それより下で80,000円多く引かれている形になる。
銀行が「本業でいくら稼いでいるか」を見るのは営業利益なので、 この差は決算書の読まれ方を直接変える。 毎年車を1台売れば、営業利益だけを押し上げ続けることもできてしまう。 だから、売る年でも売る日までの分は営業の費用として計上する。
Q. 月割りは日割りではないのか。11月30日と11月2日で同じ8か月というのは雑に見える。 A. 雑ではあるが、意図的にそうしている。 減価償却の耐用年数そのものが年単位の見積りなので、 その中で日数まで細かく計算しても精度が上がらないからだ。 8年という年数が「だいたい8年」である以上、その8年を日で割る意味が薄い。 実務でも税務上、月割り(1か月未満は切上げ)で計算するのが原則になっている。 試験では「月割りで計算すること」と指示が付くので、指示に従えばよい。
Q. 売却損が出るということは、耐用年数の見積りが間違っていたということか。 A. 結果としてはそうなる。5年使えると見て年120,000円ずつ配っていたのに、 8か月で手放したので、配りきれなかった分が損として残った。 ただし簿記は、この時点で過去の減価償却をやり直したりはしない。 第8章の償却債権取立益と同じ考え方で、 過去は閉じて、判明したことは判明した期に書く。 だから2期目に売却損40,000円として一度で精算する。 1期目の決算をさかのぼって直すことはしない。
Q. 売却益が出た場合、その分だけ得をしたことになるのか。 A. 「帳簿の見積りより高く売れた」というだけで、儲かったという意味ではない。 帳簿価額は取得原価を機械的に年数で割った数字なので、 中古市場の値段と一致する理由がそもそも無い。 売却益は、それまで費用として配りすぎていた分が戻ってきた、と読むほうが実態に近い。 だから損益計算書でも本業の利益とは別の欄に置かれ、 その年だけの臨時の数字として扱われる。
flowchart TD
A[固定資産を手放す] --> B[まず当期分を月割りで償却]
B --> C[帳簿価額を出す<br/>取得原価 − 累計額]
C --> D{売却価額と比べる}
D -- 高く売れた --> E[固定資産売却益<br/>収益]
D -- 安くしか売れない --> F[固定資産売却損<br/>費用]
D -- 代金が後日 --> G[未収入金<br/>boki3-ch06-s02]
B -.期中取得も同じ月割り.-> H[取得の期<br/>boki3-ch07-s03]
F -.売らずに捨てる場合.-> I[固定資産除却損<br/>boki2-ch05-s02]
正解: 4
正解: 2
正解: 3
正解: 1
正解: 2